PSP mk2 - PSPの参加型レビューサイト

GOOD!

・手軽にプレイできるところ
ストーリーの展開が比較的速く、また共通ルート自体が短めなのですぐにヒロイン個別のルートに入れるためあまり手のかかるギャルゲーをプレイしたくない、という人には適しているかと。
また「愛の一日」と呼ばれるおまけシナリオ（ヒロインの誕生日（ちゃんと説明書に書いてあるので安心されたし）に合わせると何かが起きるかも）も存在してるためPS2版経験者も未経験者も楽しむことはできる。
そして独立したミニゲームとして「あぷりーち麻雀」が存在しているため、麻雀ソフトとして楽しむのも有りといえば有りか。

BAD/REQUEST

・ストーリー
前作のエッセンス（ある日突然現れた婚約者を名乗る少女、外すと「爆発する」と言われ着けさせられる指輪など）に拘り過ぎるあまり、ストーリーの大前提からして矛盾をきたしているのはどうにも戴けない。
まず、物語の発端となった美咲桜の「誘拐」について。彼女の実の母親で主人公の後見人であるコウが美咲桜の父親の遺言と「自分の生き別れた娘と暮らしたい」という一念で実行に至るわけだが、拒絶する美咲桜を説き伏せるために総理大臣まで使って「国民総お見合い計画」なるトンデモな計画を考え付ける人脈も、娘の財産を目当てにするわけでもない社会的地位もあるのに、何故面と向かい「自分が母親です」と告白することができないのかということが矛盾に感じて仕方なかった。
同じようにトンデモな計画を考えるなら、国会中継中に「全国の生き別れた親子の再会を奨励する法案」の実行を宣言し、そして全国生中継の中で美咲桜とコウの「感動の親子の再会」を実現させた方が余程「感動の美談も大仰に仕立てれば喜劇になる」（ありきたりなお涙頂戴でしか「感動」を誘えない今の流れへの皮肉にもなっただろうし）として、ギャグになりえたのではないだろうか？シリアスな部分でも「父親の不倫相手の子供」という変わった設定持ちの主人公にも影響を及ぼしえたかもしれないし。
そして誘拐して自分の家に住まわせた美咲桜が逃げないように罠を仕掛けたり黒服連中に見張らせておくことに力を入れられても、コウ自身が一番肝心な事を言わないし生活時間帯の違いですれ違っているのだから（そうでなくても突然拉致されたのだから美咲桜の心象も最悪）、「親の愛情」というよりは、「懐かない野生の動物を逃がしたくない飼い主のエゴ」にしか見えないこともマイナスに感じたのだし。
また、主人公をはじめとした周りの人たちも、もう少し狼狽するなり騒ぐなりした方が（ただでさえ人気アイドルそっくりの美少女が転校してきたのだから、男子は大騒ぎし親衛隊を作ったり、無謀にパパラッチするなりするだろう）それだけで日常のコメディになりえたのではなかろうか？
こうしたストーリーの矛盾点を挙げていくとキリはないが、変にシリアスな設定を混ぜたりしたためにコメディに徹しきれず、シリアスに問題提起もできない中途半端なシナリオに感じたことは確かで、その為オリジナリティ・熱中度の評価は低くせざるを得ない。
・快適さ
2009年のプレイアビリティとして最低限のシステムは整えていても、肝心のスキップが手動の場合Rボタン押しっぱなしでないと機能せず、またスキップの速度もあまり速くないのはちょっと戴けなかった（それでも未読文もスキップできるのは有難かったが）。

COMMENT

PSP-3000使用。
ギャルゲーの経験値の少ないプレイヤーが経験を積むためにプレイするのならば一定の需要はあるため勧められるが（名作・良作と評される物ばかりではなく、たまにこうした作品をプレイしてみるのも自分の経験にはなるので）、経験を積んだ人間からするとストーリーの矛盾にツッコミを入れたくなったりするので、あまりお勧めはできない。
最も定価あるいは3000円以上で買うよりは、2000円未満で見つけた時に買うくらいのスタンスが一番損をしないレベルの出来なので、偶然見かけた時に安値がついてて、かつ自分のプレイしたいソフトがない時に買った方が賢明だろう。