PSP mk2 - PSPの参加型レビューサイト

GOOD!

・アドベンチャーゲームでは背景の前にキャラクターの絵を上書きして表示するのが一般的ですが、本作ではキャラクターは背景に溶け込むように配置されて、映画やドラマの一場面を切り取ったような構図になっています。臨場感があって非常に好印象です。
・セリフはキャラクターのそばに表示される（テキストボックスが固定されていない）ので、いちいち発言者の名前を確認する必要がありません。また複数の人物が同時に発言する時はテキストボックスも同時に流れるため、これも臨場感を高めています。
・プレイヤーの選択が求められるのは交渉時だけで、ストーリーはページを送るだけで進行します。複雑な分岐やゲームオーバーに煩わされることなくストーリーに集中できます。
・交渉の前にはプロファイリングが行われ、成功すると交渉中に「良影響を与える発言」と「悪影響を与える発言」がわかるようになります。もちろん全ての発言について良悪がわかるようになるわけではありませんが、まったく手探りで正解を探すという状況にはなりにくいです。
・主人公がかっこいいです。顔ももちろんですが、熱すぎず冷たすぎずの性格で人命尊重の精神も共感できます。

BAD/REQUEST

・ストーリーのおもしろさはともかくとして、ゲームとしてのおもしろさは一番最初のエピソード0に集約されています。以降の交渉は目的に至る手段が不明確でプレイヤーが推理する余地がない＝推理は主人公任せになりがちなため、相手を説得する快感が得られにくいです。ストーリーに魅力を感じない場合は続けるのが苦痛かもしれません。
・音楽はほとんど印象に残りません。交渉時のBGMは別格に印象的でストーリー中でも効果的に使われていますが、それ以外はBGMなんて流れてたっけ？という感じです。
・プロファイリングがあるときは良いのですが、無いときはやっぱり手探り、総当たりになります。特に後半は難易度が高いので、一度もゲームオーバーにならずにゲームをクリアするのはおそらく不可能だと思います。

COMMENT

すごくおもしろいです。
上記の通り分岐がない（交渉時除く）のでアドベンチャーゲームというよりはビジュアルノベルといった方が正しいかもしれませんが、ゲーム的なおもしろさがおろそかにされているわけではありません。むしろ右に進むか左に進むかでストーリーが分岐してエンディングが100個用意されているようなゲームよりよほどゲーム性が高いです。
文章の質が高く、所詮ゲームと馬鹿にできるような作品ではありません。交渉がやっかいですが、普段ゲームをしない人にも遊んでもらいたいと思いました。