PSP mk2 - PSPの参加型レビューサイト

GOOD!

「新しいシミュレーションゲームの可能性」が詰まったゲームだと思います。
アクションでありシミュレーションであり、新たな一ジャンルを確立したと言えるシリーズ。
マンネリ化しつつあるゲームジャンルの開拓において、気を吐いた作品です。

以下は具体的な点を。


・オリジナリティ

このゲーム自体がオリジナリティの塊。
アクションゲームにも見えますが、武器を構えれば時間が止まり、そこにシミュレーション要素が生まれます。
アクションが得意な人が有利になるわけではなく、「戦場のヴァルキュリア」が得意な人が有利になる、そんな極めて高い独自性を作り上げたスタッフにはひたすら敬服です。

前作があまりに完成度が高かったので、余計な追加要素で失敗するのではないかと心配していましたが杞憂でした。
携帯機向けアレンジ（詳細後記）と豊富になった兵科の相性がよく、絶対使わない死に兵科が出ないようになっている点がすばらしい。


・グラフィックス

PSPはソフト一本目ですが、かなり綺麗なほうではないでしょうか。
ただ、前作の水彩画風味がまったくなくなってしまったのでマイナス1点。

BAD/REQUEST

本作は戦場のヴァルキュリアの続編であるものの、”携帯機向けにアレンジ”されています。
携帯機としてサクっと遊べるよう、マップの縮小や難易度の低下が見られ、前作のようにどっしり腰を据えてシミュレーションしようとすると肩透かしを食らいます。
アレンジと言ったように私はわりと好意的に捉えていますが、人によっては劣化以外の何者でもない。

前作は「ゴリ押しでは無理。でもちゃんと考えてやれば突破できる」、そんなゲームでした。
ところが、本作では普通にゴリ押しが利きます。
簡単なゲームなら、そもそも戦略を立てる必要さえありません。
高い難易度があったからこそ、どのユニットを動かし、どの位置で攻撃するか、どの位置で待機させるかという戦略が必要だった。
その点において、大きく質を落としてしまったことには興ざめを感じざるを得ませんでした。

成長システムは前作の仕様に加え、単位取得でクラスチェンジできるようになっています。
しかしこの単位も取得できたりできなかったり、取得しても意図した単位でなかったり、強いランダム性があります。
さらに、必然的に行動回数が少なくなりやすい支援兵は、クラスチェンジが難しくなってしまいます。
単位システムは決して悪くないのですが、ランダムなせいでイラつかせるシステムに終わってしまっている。

携帯機向けの仕様なのでしょうが、マップが前作よりかなり狭くなり、ミッションも規模縮小、短時間化が見られました。
携帯機向け仕様そのものを批判する気は毛頭ないのですが、もっと総力戦規模のミッションが欲しかったなぁと。

指揮官コマンドであるオーダーは、今回は消費コストが大きく、まともに使うことができなかったのも残念。

最後にもっとも不要だと感じたのがグループ設定。
グループに登録したクラスメイトでないと出撃できないわけですが、そもそもクラスを小分ける必要性がどこにあったのか、未だに見出せません。
豊富なキャラが活きる仕様が随所に見られるのに、どうしてここで矛盾した仕様を設けたのか、もったいなく感じます。

COMMENT

前作プレイ済み。
悪いところが長くなりましたが、このゲームの核であるアクティブシミュレーションそのものに関してはまったく批判しておりません。
言ってみれば、枝や葉に痛みがあるものの、樹幹そのものは非常にたくましい大木。そんなゲームだからこそ高評価させていただいてます。

マップ縮小や兵科追加などから、一見前作とは異色の作品に見えますが、よく見ると携帯機向けにアレンジされているだけなんですよね。
そしてそれが前作とは違った、新たなおもしろさとしてしっかり成立しているところがすばらしい。
その反面、難易度低下は深刻にゲームのおもしろさを低下させたと思います。
プレイしていて、前作ほどの熱さは感じなかったですし、熱中度もかなり下がりました。
高難易度にするとどうしてもプレイ時間が増えますし、携帯機向けにすると仕方ない部分もあったでしょうか。

いろいろ不満もありましたが、やはり感じさせられるのは新しいゲームの可能性。
不満もあるのについつい長時間プレイしてしまいます。
こんなゲームを待ってました。
スタッフの皆さんありがとう。
次回作もよろしくお願いします。

PSP-3000。インストール済み。